

骸骨を乞う、っていうタイトルで。
実際、上巻では悠舜や旺季の最期の話で。
だから、今回もそれなりに覚悟して読み始めたはずなのに。
……なんだろうな、この気持ち。
どうしてくれよう、この微妙さ加減。
まず第一話、予告通りに晏樹の話……なのに。
上巻での旺季の最期の後の彼の話かと思えば全く逆で、むしろ彼と旺季の出会いからその時のごく直後までの話。
その後のオチが前巻と同じだなんて……。
少なくともはっきりした結末はないまま。
次いで、秀麗の話。
……ここは、流石にがっつり泣けました。
ここがしっかりしてなかったら、この本の評点は前巻でのボケナス三人組レベルのものになっていたでしょう。
そのボケナス三人組に、有用な助言を与えたのは、やっぱり彼女だったんですね……。
そしてやっぱり璃桜君は実に男前に成長あそばして……。
死んだ後もその慧眼は健在とすら思わせる“遺言”を受け、すこーし大人になった絳攸に、自らの立場を危うくさせかなない存在とみなされる彼。
そのエピソードのラストの一言、本編のラストの一節を思うと、ホントに笑えないんですが……!
そうして泣けて泣けて……という展開の後、たった一ページめくっただけで、涙が吹っ飛んでいく構成にしたのは何故なんだろう。
骸骨を乞うどころか、生き生きピチピチした、悪夢の国試組の真相。
……以前、譲葉の一件や、外伝でちらほらと既にあった当時のエピソード。
それを、悠舜の側から見ると、こうだった、という話に、志美ちゃんの真実まで絡んでくる、中々に重く深い話であるはずが、黎深とか飛翔とかのせいでヒクヒクと口角が引きつる類の笑いが止まらないという……。
特に、“天がこの国試で自分の何を試したいのか”という下り……。
どんな頭を持っていようと何一つ役に立たなかった、というあたり……。
せっかく前の話で、悠舜すげぇと感心したばかりだったのに。
読み終わる頃には、秀麗の話で潤んだハズの目が乾ききっているという、このなんとも微妙な読後感……・。
どうしてくれようか……。
でも、志美ちゃんの話とかね、これ読んじゃうと、本編に登場した時、秀麗や劉輝、黎深への言葉の重みが違ってくるし。
むざむざ捨て置けないエピソードが隠れてたりするあたり、粗雑にもできない。
なんともニクイ構成でしたよ、コレ……。
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