

この作者の小説は、基本ヒーロー・ヒロインが、その他の脇役という名の“普通の人”から見ると、どうにも妙な具合に面倒くさいというか厄介というか……というような人物である場合が多いのですが。
今回のヒロインは……、男嫌いという以外はむしろ超優秀かつ女性にモテモテな伯爵令嬢。
――その実、「蝙蝠」という名の王家のスパイの役を負う家柄の、超有能上司。
代わりのように、今回はヒーローが色々とおかしい人、という事で。
人の心を見透かす直感力を持ち、蝙蝠としては超優秀だけど、その力のためにねじくれにねじくれた男。
そういうおかしな主人公を描きながら、テンポよく、上手くまとめているのはいつもの通り。
……ひとつ、難点をあげるなら……、残念な従兄弟君はどうなった? と。
彼の扱いが……残念な脇役というキャラを差し引いても、ちょっと中途半端で……。
もしも続編があるのなら、次は彼が面倒を起こすのかしら? と思うところだけど。
奥付にある日付は2014年5月。
そして調べてみたところ、今のところ続編は影も形もなし、という事は……これは読み切りという事で。
このページ数にすればまとまっている方だし、主人公二人の話は良いと思うけど、ちょっと脇が甘かったな……という印象。
まあ、通勤中、電車の中で読む本としてはちょうどいいくらいの話かなぁ。
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