

このシリーズ、舞台だけは一定で、だけど毎回主人公が変わる、というタイプのものらしく、今回電子書籍のセールで安くなっていたのでせっかくだから、と。このシリーズ第一巻のみ「吸血鬼モノ」のようで、だからこれ一冊のみ読んでみた、という経緯なわけですが。
クーデターを起こされた王の姪、正確には王弟の娘であった、赤ん坊の彼女は、追っ手に追われ逃げる中、両親を失い、しかし彼らに捕まる前に吸血鬼だという事を隠し、同国の貴族の当主として生きている男に拾われ、育てられる……。
この設定だけだと、割とWEB小説ではありがちなもの。
けれど、この小説の作者、剛しいらさんは、特別好きとまではいかないまでも、ベテランの作家さん。
……作品にBLモノも多数あるだけ、序盤に彼女以外に随分と親しそうな同族の男性キャラが出てきた時点で、若干そちら方面の危惧はあったものの。
幸い、物語の展開はありがちな方面へ。
ただ、少女小説にしては、ヒロイン目線で書かれたシーンより、ヒーロー目線で書かれたシーンの方が多かったのがある意味新鮮ではあったかと。
拾われた少女がある程度の歳になって、養父の正体に気づいてから、というのがこの手の話の醍醐味……のはずで、確かにそこまではヒロインが幼いため周りの大人目線の語り口になるのも仕方ないのかと思ったりもしたけれど。
――いざ、その時になったら、逃亡してしまうヒーローとか。
最後はハッピーエンドとはいえ。
読みやすいけど、ちょっと味気ない感じが……否めなかったなぁ、と。
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