

片や『軍神』と呼ばれる大国の第二王子。
片や『勝利の女神』と呼ばれる王女。
元々、戦が原因で目覚めなくなってしまった兄の代わりに戦場に立つようになった彼女に、とある神託が下される。
『世界のホコロビ』をどうにかして、世界の終わりを回避するための救世主として旅立つことになる彼女だが、似たような神託を下された人物が、もう一人。
彼女にとっては「敵の大将」でしかないはずの男と昼夜共に旅をすることになり……、と。
「秘薬の恋」シリーズが終わっての、次シリーズの1巻目、という事で、一応の事件は解決しますが、解決したのは事件だけ。主要人物の周囲や背後関係の問題は何一つ解決しないまま、物語の最後の最後で新たな神託が下ったとだけ書かれて、終わっています。
……当然、次巻に続く、というわけなのでしょうが。
物語の雰囲気的には、前回の『秘薬』のふわふわした恋より、『瑠璃の風』シリーズの雰囲気に似ています。
……まぁ、舞台は『瑠璃』のようなアジアンテイストではなく、『秘薬』同様どちらかといえば欧風な雰囲気がありますが。
母に嫌われ、父王には愛されてはいても、なんだかちぐはぐしている王女と。
父王から嫌われる王子と。
本来敵同士という立ち場にある彼らの進展にはどう考えても世界情勢をひっくり返す必要があって。
……つまり、そういう話になるんだろうなぁ、と。
初めこそ、戦場には立っても、基本的には兵士に守られて、覚悟はともかく腕の方はどうなんだろう、と思っていたお姫様。
姫、というだけあって、王子に比べれば多少世間知らず、常識知らずな部分もあるようですが、剣の腕は充分、姫としての貫禄も充分な、私好みな“強い娘”みたいなんで。
この作者の前2シリーズも面白かったし、少し期待したいな。
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