となりの魔王 到来編

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「ビーズログ文庫アリス」という、ビーズログ文庫から枝分かれしたらしい新たなレーベルの１作品。

最近、異世界モノが流行っていて、主人公が魔王のいる世界に行くだとか、魔王として召喚されただとかいう話はごまんとある。……逆に魔王様の方が、いわゆる人間界という現実世界に召喚されてきてすったもんだする話もまあ、割とある。

そしてこの作品、基本としては後者に括られるだろう設定……ながら。

ある日、突然隣に魔王が引っ越してきた。
そこから話が始まって、第一話は、その魔王さまが引越しそば持って挨拶に来て、互いに自己紹介したところでちょっとしたオチをつけて終わる。ページ数にして、約１４ページ。最初の四コマ漫画と、イラスト１Pを除けば、12ページ。
そして、第２話もまた、魔王がスーパーに買い物に行く、という。

あくまで、ごくごくありふれているだろう日常生活、人間がやるなら注目するに値しない行為を、魔王がやるとどういうことになるか。
そういうのが1話につき、1ネタ、という短編集のような構成で。

……そして、この作品において一番愉快な設定は、日常生活の隣に魔王がやっていて、ごく当たり前の反応として驚いているのは主人公のみ、という点。主人公の家族から、他の隣近所まで、「魔王が引っ越してくるなんて当たり前のこと」と納得している。

だから、魔王のやる事なす事にいちいち驚き突っ込むのは主人公だけ。

……実際魔王と言いつつ、基本的にはごく穏便な日常セ活を送っていらっしゃる。
けど、いちいちどこかズレたところがあって、そこが面白い。

奥は全く深くないけど、軽～く読むには十分面白い。

特に冷麦の回がお気に入り。