

――背表紙に書かれたあらすじを読んだ時点では、最近ありふれている異世界トリップチートものの変化球版なんだろうと思いました。
ただ、“異世界”というのが乙女ゲームの中の世界で、主人公がその登場人物の一人であるだけ。
……その中でも“悪役”役というのも『今日からマ王』をはじめ、割とよく見るし。
けど、実際読んでみれば……。
正直、チート感ほぼ無し。――確かにゲーム進行を知っている主人公があれこれ画策はしてますが……、それもこれもあさってな方向に落ち着いて行く過程を見るに、アディじゃなくても笑うしかありません。
……惜しむらくは、ゲームの主役カップルは大団円を迎え、アルバート家も安泰ルートに入る、メアリ的“超ご都合主義、お花畑すぎる”エンドだったというのに。
肝心のこの小説の主人公カップルがまだエンディングにたどり着ききってない! ……って事でしょうか。
もう、あちらこちらにフラグ立ちまくりなのに、鈍いお嬢様だけが気づかない!
――ゲームの内容は覚えていても、そのゲームをプレイしていたはずの“前世”の誰かさんの素性はおろか名前一つ出てこない。
それどころか、本来の設定から少々……ならず外れたキャラ達。
そのズレ具合が面白すぎました。
欲を言えば一応パトリック以外の“王子様”にももう少し存在感があって欲しかったけど……
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