

――女装王子。
このワードだけで、どこまでナナメ上に話が飛ぶかなぁ、と思いつつ。
でも、あえてこんなタイトルの本に手を出した訳は、5時間強にも及ぶ電車移動の時間を有意義に使うため。
だけど、公共交通機関にて、うっかりにまにましてしまうとか、吹き出してしまうとか、そういう失態を避けるべく、割と大人しく読めそうで、それでいてつまらなくなさそうな話、という……私的には結構難易度の高い選択を迫られ。
で、結果、選んだのがこの作品でした。
――で。実際読んだ感想としては。主人公たる“女装王子”はまるで、某伯爵様のようなキャラクター。
そう、双子の妹に突然身代わりを頼み、親衛隊の女の子たちとうふふあははとやりながら、一方で自分を鏡に映してうっとりする、彼――「
身代わり伯爵
」シリーズのフレッドのような……。
そう、中身は至ってノーマル……いえ、少々色々こじらせた感はあるものの、オカマとかそういうんではなく、間違いなく男。それも、周囲は迷惑する類の意地の悪さを持ったごくフツーの男。
理由は、本来第二王子である彼が、第一王子だった現王と王位争いでゴタゴタしないように、との父王の配慮だったわけだけど、その真実を明かす前に彼はなくなり、その事実を知らないまま兄が王位に就いた――故に、彼は今も王妹として振舞っている。――それも、割と喜々として。
そんな彼が、とうとうその正体を明かそうと催したのは、“花婿選びのパーティー”。
大々的に、そして衝撃的な告白を演出しようと悪だくむ彼。
だけど、そのパーティーに、彼とは別に、もっと質の悪い悪巧みをして潜り込んだ輩が一人。
そして、それをこっそり阻止しようと潜り込んだ者がもう一人。
――当然波乱の幕開け……ながら。オチは割と読んだとおり……だったんだけど。
事件は解決したけれど、女性向けのストーリーとして、肝心な方は完結していないような……。
むしろここからが本番なんじゃ? って思うけど。
このレーベルで続刊、あり得るのかな?
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