

第一巻、銀砂糖師と黒の妖精から始まり、各巻ごとに色々な色の名前が入ったサブタイトルで続いてきたこのシリーズ。
そして今巻、最終巻である今回のタイトルは――銀砂糖師と黒の妖精王。
第一巻の当初は彼本人も知らなかった、妖精王という宿命。
そして、彼の他にもう二人。全部で三人いる妖精王たちの憎しみと、戸惑い。
前巻で、混乱のまま最初の銀砂糖を持ち去ってしまったエリル。
そして、ある意味案の定、各地で暴れまわるラファル。
さらに、それを伐つために、自らも追われる身でありながらストーの元を訪れたシャル。
その行く末の幸運を祈るための要となる砂糖菓子を作るアン。
全ての鍵を握る最初の銀砂糖は、エリルとともに、ルイストンへ。
そこでベンジャミン、ミスリルと接触した時点で、遅かれ早かれアンとも接触する事は分かっていましたが。
ミスリルはともかくアンもエリルに気づかないとは……、これはアンがカカシ頭なせいなのか、ベンジャミンの腕が上手かったからなのか……。
そして、いつも眠たそうにしていて、「料理以外役に立たない」と、キャットはもちろん、シャルやミスリルからも太鼓判を押されていた彼が、分かっているのかいないのか、じつに素敵なアシストをしてくれます。
ただ戸惑うだけの幼いエリルが、完成した砂糖菓子を見て自覚を得て、真の妖精王として目覚める。
ここまでは、前巻までの流れである程度予測はしていました。
でも、それでも彼が妖精王として下した決断を告げるシーンは……なんというか……、「タイトル、『黒』の妖精王なのにぃ……」と思いつつも、それでもエリルがかっこいい……。
これまでは「可愛い」感じだったのに、こんなに一気に成長しちゃうものなんだ?? っていうくらいに。
――ただ、その後が。
うーん、ちょっとダイジェスト版じゃないですけど、詰め込みな感じになっていしまっていたのが惜しい……。
各キャラのその後……的なアレが、ね。
彼はこうで、あの人はこうで、と、一文で済ませるんでなく、もう少ししっかり書いて欲しかった。
しかも……ヒュー……の「その後」が……、ね、ちょっと……。「ええ、いくらなんでもそれはヒドすぎない??」と。つい突っ込みたくなりまして……。
実際……ねぇ。タイトルこそ「黒の妖精王」だけど。正直これは完全にエリルの回だ……。
なんでも、もう一冊、外伝が発売されるようなので。
ぜひともそちらでこの鬱憤がはらされることを期待したいと思います。
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